2026年9月1日、総務省は平成元年郵政省告示第42号(特定小電力無線局の用途、電波の型式及び空中線電力を定める件)の一部改正案に関する意見募集の結果を公表した。改正案は、76.5GHzのミリ波レーダーについて、等価等方輻射電力(EIRP)が50dBm以下である場合に空中線電力の上限を0.01Wから1Wへ引き上げ、先進運転支援システム(ADAS)および自動運転向けに広角化と長距離検知の両立を可能にする。
意見募集は2026年7月4日から8月3日まで行われ、法人・団体4件、個人7件の計11件が提出された。総務省はいずれの意見によっても案文を修正していない。今後、改正に必要な手続を速やかに進めるとしている。改正告示が官報に掲載されれば、0.01Wを超える76GHz特定小電力レーダーを日本市場に置く場合、新たな空中線電力の肢が技適(Giteki)の適合条件となる。
11件の意見は告示案のどこを変えたのか、次に何が起きるか
条文は変わらない。意見と総務省の考え方(別紙)では、株式会社デンソーとITS情報通信システム推進会議ミリ波システム専門委員会が賛同し、英幸テクノ株式会社の製品応用に関する意見は参考として扱われ、自然科学研究機構国立天文台電波天文周波数委員会は、電波天文との共用が成り立つようレーダーの普及率と半導体出力の推移を把握し続けるよう求めた。個人7件はプライバシー、施行の迅速化、提出資料の読みやすさ、具体的な法改正を伴わない反対などである。各行の「案の修正の有無」はいずれも「無」である。
9月1日の結果公示は、所要の手続を速やかに進めるとしている。電波法施行規則第6条第4項第2号に基づく告示であるため、残る手続は大臣の決定と官報掲載である。施行日は示されていない。意見募集自体は2026年7月3日に開始されている(開始時の報道資料)。
空中線電力とEIRPの上限は実際にどう変わるのか
新旧対照表(告示案)が改正するのは、告示第42号の「十一 ミリ波レーダー用」のみである。指定周波数76.5GHzと占有周波数帯幅1GHzは据え置きで、傍線が付くのは空中線電力の欄だけである。
| 項目 | 現行の告示第42号 | 改正案 |
|---|---|---|
| 指定周波数 | 76.5GHz | 76.5GHz(変更なし) |
| 空中線電力 | 0.01W以下 | 0.01W以下。ただしEIRPが50dBm以下となるものにあっては1W以下 |
| 現行のEIRPに相当する値 | 0.01Wに空中線利得40dBiを加えた50dBm | 放射電力の天井は引き続き50dBm |
| 免許 | 特定小電力、免許不要 | 免許不要のまま。電波法第4条第3号の空中線電力1W以下の枠は維持 |
日本は現在、空中線電力と空中線利得を別々に上限で縛っているため、ビームを広げるために利得を下げると検知距離が落ちる。改正案はFCC 47 CFR section 95.3367およびETSI EN 301 091と同じEIRP上限方式であり、EIRPを50dBm以下に収める限り、空中線電力は1Wまで上げられる。帯域外およびスプリアスの許容値はこの告示では改正されない。根拠は、平成14年9月30日付け諮問第2009号のうち「76GHz帯小電力ミリ波レーダーの高度化に関する技術的条件」である。
誰が再認証し、新しい肢はいつ拘束力を持つか
対象は、TELECなどの登録証明機関、76GHz特定小電力レーダーを日本市場に置くOEMおよびモジュールベンダー、そのセンサーを搭載したADAS・自動運転車の輸入者である。0.01W以下にとどまる製品の既存認証は有効である。新たな1Wの肢を使う工事設計、または50dBmのEIRP上限に合わせて空中線利得を組み替える設計は、改正告示の施行後に技術基準適合証明または工事設計認証を取り直す必要がある。輸入時の税関における技適マークの確認は続く。
国立天文台の共用に関する指摘は、製品試験の条項ではなく運用上の留保である。審議会報告は、高度化レーダーの普及率が0.1%以下にとどまる間、法律上の天井である50dBmではなく実力値の30dBmを前提に、野辺山45m電波望遠鏡との共用は可能とした。総務省は、与干渉側と被干渉側による検討組織が普及率と半導体出力のデータを集め続けることが適当としている。この作業は告示改正そのものを遅らせない。
官報掲載までに技適とOEMの担当者は何をすべきか
日本向けに販売する76.0GHzから77.0GHzのレーダーSKUを、0.01Wのまま残すか、最大1WでEIRP 50dBm以下を示す新しい工事設計として出すか、肢ごとに整理する。登録証明機関には、告示が掲載された当日に特性試験方法とアンテナパターンの証拠を出せるよう、今から共有する。占有周波数帯幅、帯域外、スプリアスは現行の無線設備規則のままかを確認する。管轄ごとの継続的なリアルタイム監視は、官報の本文が技適条件を固める前に、総務省が結果を出した瞬間にこの種の告示を表面化する。
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日本に置く76GHzレーダーが新しい1Wの肢を使うかを確かめ、EIRPの証拠一式を登録証明機関と固め、改正された告示第42号と施行日を官報で監視する。ADAS、型式指定、通関の担当にも同じサイクルで共有する。Obsidianはこの案件を結果公示から拘束力のある告示まで追い続ける。


