2026年7月16日、厚生労働省は各検疫所長あてに、食品衛生法(昭和22年法律第233号)第26条第3項に基づく検査命令を通知しました。対象はインド産ワサビノキ(モリンガ)の未成熟種子の鞘およびその簡易加工品で、輸入届出ごとの全ロットについてメタミドホスの残留検査が義務づけられます。根拠条文は食品衛生法です。
厚労省は、インド産モリンガ未成熟種子の鞘に対する残留農薬の検査命令は今回が初めてだと明記しています。契機は成田空港検疫所のモニタリング検査で、基準値0.03 ppmに対しメタミドホスが0.09 ppmおよび0.43 ppm検出された2件の違反です。運用上の通知本文は2026年7月16日付の厚生労働省報道発表です。
7月16日の検査命令は何を義務づけるのか?
対象品を輸入する事業者は、輸入届出に係る全ロットでメタミドホス検査を実施しなければなりません。第26条第3項の検査命令は、通常のモニタリングをロット単位の義務に切り替え、適合結果が得られるまで通関を進められない仕組みです。
対象食品は、インド産ワサビノキ(モリンガ)の未成熟種子の鞘およびその加工品(簡易な加工に限る)です。文言に入らないモリンガ製品は今回の対象外ですが、SKUが文言に該当するかは届出前に確定する必要があります。
厚労省はメタミドホスを殺虫剤と位置づけ、許容一日摂取量を体重1 kg当たり0.00056 mg/日、急性参照用量を体重1 kg当たり0.003 mgと示しています。検出値0.43 ppmの条件でも、発表が引用する摂取量モデルではこれらの参照値を超えず、違反品の喫食による健康被害の報告もないとしています。
誰が対象で、輸入規模はどの程度か?
法的な義務の名宛人は、対象のインド産モリンガ製品について検疫所に輸入届出を行う日本の輸入者です。インド側の輸出者・包装者は命令の直接の相手方ではありませんが、通関前に適合結果が必須になるため、商流上の圧力は輸出側にも及びます。
厚労省が示した速報値(令和7年4月1日から令和8年7月9日まで)では、インド産モリンガ未成熟種子の鞘の輸入は限定的です。令和7年度は届出153件・27トン、メタミドホス検査14件・違反1件。令和8年度(同日まで)は届出52件・6トン、検査14件・違反1件。違反2件の輸入者はいずれも株式会社Krishnaと公表されています。
| 貨物 | 到着日 / 違反確定日 | メタミドホス結果 | 措置 |
|---|---|---|---|
| 生鮮 120.00 kg(24 CT)、成田。輸出者・包装者 JPKRISHNA EXPORTS PRIVATE LIMITED | 2026年3月9日 / 2026年3月24日 | 0.09 ppm(基準 0.03 ppm) | 一部消費済み、残余廃棄 |
| 生鮮 126.50 kg(23 CT)、成田。輸出者・包装者 KRISHNACO | 2026年6月29日 / 2026年7月9日 | 0.43 ppm(基準 0.03 ppm) | 通関済み |
コンプライアンスは今すぐ何を変えるべきか?
対象のインド産モリンガ未成熟種子の鞘(および簡易加工品)について、輸入SOPを更新し、届出ごとにメタミドホス検査の日程と費用を織り込んでください。従前のモニタリング扱いが続く前提は使えません。
次便の前にSKUを命令文言と照合し、輸入者側で誰が検査を手配するか、検疫所が受け入れる検査経路、不適合時の留置・積戻し・廃棄の手順を確定してください。
インドのサプライヤーには、成田でのモニタリングで基準0.03 ppmの約3倍および約14倍の検出が、この品目では初の検査命令につながった事実を共有し、メタミドホスおよび関連有機リン剤の残留管理エビデンスを船積み前に求めてください。
管轄ごとのリアルタイム監視で厚労省の輸入食品検査命令を追う体制があれば、検疫所長あて通知が出た当日に次の第26条第3項案件を把握でき、成田で貨物が止まってから知る事態を避けられます。
次の一手は、進行中・予約中のインド産モリンガ未成熟種子の鞘が命令対象か確認し、届出ごとにメタミドホス検査を手配し、サプライヤーの残留管理を文書化し、対象拡大の追加通知を監視することです。Obsidianは検疫所向けの検査命令を公開と同時に拾うため、貨物が海上にある段階から輸入コンプライアンスが動けるようになります。


